2020年11月、北海道の独自品種「山幸」が国際ブドウ・ワイン機構(OIV、パリ)に品種登録されました!
あまり聞きなれない「山幸」ですが、2010年「甲州」、2013年「マスカット・ベーリーA」
に続いて国内品種としては3番目の登録となります。
登録品種名は「Yamasachi」
これで世界に向けて「Yamasachi」ブランドが展開される準備が整いました。
今まで飲んだこともないという方が多いのではないでしょうか。
そんな「山幸」の現状と今後の展開について調べてみました。
国際ブドウ・ワイン機構に品種登録されるメリット
国際ブドウ・ワイン機構(OIV)とはフランスに拠点をおく、ブドウ栽培や品種、ワイン造りの研究機関です。EU域外で生産されたワインのラベルにブドウ品種を表示する場合にはOIVに品種登録されている必要があります。
もし登録されていないと「日本産赤ワイン」といった表示しかできません。
山幸は北海道池田町独自の品種ですので、今後「山幸」の需要がEUで高まれば、北海道ワインの輸出額が伸びていきそうです。
下の図のとおり北海道では寒さに強いブドウが栽培されています。
先に登録された「甲州」「マスカット・ベーリーA」は北海道では主要品種ではありません。
北海道池田町のワイン業界にとって「山幸」の需要をのばしていくことが、道産ワインの販売拡大のカギとなりそうです。
「山幸」とは?
◎山幸(Yamasachi)…山幸は1978年に開発に着手、フレンチハイブリットのセイベル13053を(耐寒性や収量性を目的に)クローン選抜した品種の「清見」に在来種である「山ブドウ」を掛け合わせたブドウの中から更に選抜した醸造用赤品種です。耐寒性・耐凍性に優れ、冬期間の枯死防止のために対策を講じる必要がなく、栽培農家の労力を軽減できる有望な品種です。
TOKACHI WINE.「山幸(Yamasachi)」OIV品種登録WEBプレス発表について
https://www.tokachi-wine.com/topics/7753.html
北海道池田町は十勝ワインで有名なワイン産地です。
冬は-20℃を超えることもあり、厳しい環境に耐えることのできるブドウ品種の開発に長年とりくんできました。山幸は2006年に国内で品種登録されています。
耐寒性にすぐれているので、北海道でも生産可能な品種です。
できあがるワインの特徴はしっかりとした酸味、色が濃く、軽快な味わいとなります。
漢方薬や紫蘇の香りとも表現され、野趣あふれる個性があります。
今度の展望
日本ワインの輸出量
山幸のOIVへの品種登録でEUでの輸出拡大が期待されるところですが、
日本全体の日本ワインの輸出量の現状はどうなっているのでしょう?
酒類の輸出量は年々増加していますが、ワインの輸出量は酒類全体の中でごくわずか。
グラフでは判別できないほどの量・・・。
平成30年のEU向けワイン輸出額は1,500万円のみで輸出量の少ないワインの中で見てもEU向けの輸出額は10%にも達していません。
これからEU向けに輸出を増やしていくには、課題が多そうです。
EPA協定による影響
EPA協定の影響で一番大きいのは「輸出入にかかる関税」の撤廃・削減による効果です。
2019年2月1日にすでに発効しています。
発効されてからは日本EU間の輸出入ワインの関税は完全に撤廃されています。
言われてみれば、スーパーやコンビニでEUのワインがたくさん店頭にならぶようになりましたね。
EPA発効前はEUワイン醸造規則に従ったものでないとEU内で販売ができなかったのですが、このしばりのために、日本ワインはほとんど規則に該当せず流通させることができませんでした。
また、EUワイン醸造規則に従った、証明書の添付が必要であったため、手続きがとても面倒になり日本ワインの輸出をむずかしくする原因となっていました。
EPA発効により、こういった制限がなくなり今後「山幸」ブランドがEUで展開される助けとなることはまちがいなさそうです。
EPA発効後のEU向けワイン輸出額は平成30年で1,500万円とちっぽけな市場ではありますが、日本政府による手続きの助け、ブランド展開によりEU内での認知がじょじょに広がっていくことでしょう。
これからの市場ではありますが、北海道池田町や日本政府のワイン政策に注目していきましょう。
まとめ
- 山幸は国内で3番目にOIVに登録された品種
- EUでの販売するときに「Yamasachi」の表記が可能
- 独自ブランドの展開でEUへの輸出拡大に期待
- 現状ではEU向けのワイン輸出量はごくわずか
- 今後のブランド展開に注目
まだこれからの山幸ですが、大いに注目です。
山幸ワインをためしてみたい方はこちらをどうぞ
ではまた。
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